会長挨拶
森 治嗣
MORI Michitsugu
2014年度総会にて、慶應義塾大学教授、第27期菱田公一会長の後を受け、第28期会長を拝命致しました。神戸大学教授、赤川浩爾初代会長以来、諸先輩の多大なご努力により、本学会は発足以来横断的専門家集団の学会として地道ながら着実に時代の変化に対応し学会活動を継続して今日に至っており、会長として引き続き学会の継続と発展、社会への貢献と会員への還元など、その果たすべき重責に身の引き締まる思いです。1年間筆頭副会長として菱田先生のもと賞雅副会長、梅川副会長、及び理事、各部会長、監事各位とともに学会運営に携わって参りました。引き続き諸先輩並びに会員皆様のご指導と支援を賜りたくお願いを申し上げます。
混相流学会と付き合いを始めたのは、既に学生時代から参加していた機械学会や原子力学会、伝熱学会に比べれば新しく、海外の大学から帰国し企業の研究所に職を求めてから暫く、2000年の岐阜高山、2001年の福島石川町母畑温泉でのOMFに誘われて参加し、やや趣の異なる学会に親近感を覚えてからでした。原子炉内の沸騰二相流を研究の対象として、その取り扱いの複雑さを身に染みて実感してきたが、界面を擁する流体を多岐に亘って扱う混相流学会の研究発表講演に感動した以上に、現実の身近な複雑な混相流れを真正面から取り扱う研究に、当時企業内研究者として本会の価値を見いだし得た想いがありました。2001年に深野会長のもと財務担当理事として執行部に参画して以来、昨年度菱田会長の強力な指導力のもと副会長として参画し、学会存続をかけた財政健全化のための会費値上げを会員の皆さんに已む無き想いでお願いいたしました。今期は将来に向けた財政の安定化と会員の維持、更に成長基盤の強化と戦略を描く必要があると考えています。期待できることは、メジャーな学会での理事、副会長の経験から謂えば、当学会の理事会は我々平均年齢を押し上げる世代とともに新進気鋭の若手役員が対等以上に活躍できることです。その活力と目的意識はメジャーな学会の理事会より遙かに高く機動力があり、且つ横断的専門家集団の学会として今後大いに若手の活躍ができる余地が在り、その持てる力を大いに発揮することが可能なことです。将来構想検討WG答申の実現は未だ困難なものがありますが、本会の特長が出せる研究会や講習会の若手中心によるOMFや学生会、活発なレクチャーシリーズ等を通した混相流の学術基盤と専門性を高めた学会活性化及び堅固なネットワーク形成、混相流実験データ映像館の活動充実等を通し、日欧二相流専門家会議、混相流計測技術国際シンポジウム、及び混相流シンポジウム、ICMF等本会が主導しまたは深く関わる会議への若手研究者による大いなる寄与、更なる活性化への原動力として結実させる礎を残したいと考えます。関連学協会はもとより特に企業研究者と交流を深めるとともに関係を強化し、若手の学会員に魅力のある分野を開拓して、本会の更なる発展に尽力する所存です。改めて引き続き諸先輩会員皆様のご指導とご支援をお願い申し上げます。
北海道大学大学院工学研究院エネルギー環境システム部門原子力システム安全工学研究室 教授
〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目